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『アカイヒト』『ナショナルアンセム』(高橋洋)

 『アカイヒト』は東京では知る人ぞ知る怪奇映画、『ナショナルアンセム』も関西では知る人ぞ知る陰謀映画。知る人ぞ知る映画というのは、見た人たちはそのあまりに異様な感触に撃たれ「見た見た」とその異様さを語りたくてたまらなくなるのだが、何故か一部のコアな映画ファンの間でのみ語られるにとどまる、そういう映画なのだが、今回の『狂気の海』カップリング上映の大きな目的の一つは、そういう映画を堂々と公開し、あってもいいことにしてしまおうと、そこにあった。
 しかし、僕自身、ユーロスペース2の大スクリーンと音響でこの2本と久々に出会い、驚いた。まったく別の映画にすら見えるのだ。

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『アカイヒト』を語る3(遠山智子)

 井川さんから質問をいただきました。『亀の歯』『巣』『アカイヒト』の三作品には、どれも兄と妹が登場し、さらに妹は死んでしまうか、死病にとり憑かれている、という共通する設定がある。なぜその設定を繰り返すのか、そのこだわりは何なのか、宮沢賢治の『永訣の朝』なども関連しているのか。といった質問でした。
 この兄と妹の設定の繰り返しは、私自身も、作るうちに気付いてきたことです。この三作品の他にも、『あいな』(“兄”の意 )や、いま制作過程にある自主映画にも、相も変わらず兄と妹が登場します。これらは全て、私の兄、私の母と伯父の存在、そして兄と妹という関係性への個人的な興味に因ることと思っています。

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『アカイヒト』を語る2(遠山智子)

 『アカイヒト』に関する前の文章に対し、井川さんから3つの質問をいただきました。以下、その返答です。
 なぜ8mm・白黒で撮ろうと思ったのか、いま思い出す限りでは、いままでやったことがないことをやってみたかったから、だと思います。ですので、シナリオを書く前から漠然と決めていました。以前、臼井勝さんから8mmカメラをいただいていて、たまにファインダーを覗いては興味を募らせていた、ということもあります。編集・発表は『アカイヒト』以後となった『あいな』という短編を撮った際に8mm・白黒の画面に興味を持ち、その画面とより近づきたい、増幅させたい、という意識を膨らませていたこともきっかけの一つでした。同じカメラで友人の家族を撮ったのですが、これはカラーがメインで、その画面からは、懐かしさ生々しさ高めの人肌といった印象を受けていたので、『アカイヒト』で、主人公が生の希望に触れる一瞬だけカラー、あとの脈々と続く世界は白黒としよう、と決めたきっかけとなりました。

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『アカイヒト』を語る1(遠山智子)

 アカイヒト』は、美学校映画祭スカラシップ作品として製作されました。
 制作は植岡喜晴氏にお願いしました。ただ、この作品が結果的に予算オーバーし、ほぼ自主製作となったことは、制作が植岡さんであったこととは無関係です。スタッフは、美学校2期の数人が中心となり、プロの美術さんである黒川通利氏、そして美学校6期の数名も結集しました。キャストは、ほぼあて書きだったこともあり、まずはお願いし、比較的スムーズに決まりました。
 撮影は、城ヶ島、足尾、渡良瀬、鎌倉、千葉、都内数カ所にて行われました。城ヶ島の洞窟の撮影時、夜明け前、潮が引き洞窟から水が無くなる瞬間を待ち、準備を開始しました。ゼネやドラムを崖からバケツリレーで降ろし、洞窟の中へ。ロケハン時に初めて出逢った、かつて見たこともない生き物たちがやはり今日も同じ姿勢でそこに居ましたが、照明をたくと音もなく一斉に姿を隠したので、それ以後“あいつら”のことは禁句、役者の人たちには終始内緒、「天井に気をつけてください…」とだけ一言、申し上げました。

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