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辻真先x切通理作x高橋洋トークレポート


映画秘宝誌にておこなわれた鼎談に引き続いて、『太平洋の亡霊』の脚本家、辻真先さん、評論家の切通理作さんをお迎えして、1時間の濃密なお話を伺いました。

本作『狂気の海』成立に多大な影響を与えた、『サイボーグ009~太平洋の亡霊』について、いろいろお伺いしました。
 話はじょじょにホラーな方向に。辻先生、ホラーは苦手だけど、「人形怪談」だけはお好きとのことで、そういえば『009』の最終回『平和の戦士は死なず』の人形も怖かった‥‥。
 で、「霊」の話に。『太平洋の亡霊』で起こったことは、すべてマッド・サイエンティスト平博士の“思念”の物質化だと思いますか? 最後に登場する平博士の息子は、博士にしか見えませんよね。009たちの客観に入ると、誰もいない。あくまで“思念”の物質化なら、009たちにも見えるはずでは? との高橋の問いに
 「あなたは『きけ、わだつみのこえ』という映画をご覧になってますか? あのラストで戦争で死んだ人々はあの世へと旅だって行きますよね。私は彼らの後ろ姿に向って言いたかった。あなた方、向こうに行っちゃっていいんですか? まだやることがあるでしょ? こっちに戻ってらっしゃい!」
 『太平洋の亡霊』が生まれた根っこに触れた貴重な言葉でした。


コメント (6)

猫目小僧:

空=アマテラス(宇宙から攻撃してくる「天照大神」)
海=近藤・リサ・ライス(海の向こうからやってきた邪神)
地=富士王朝・富士神都(マグマ制御を止して富士山噴火)

・・・

と考えたら、
『狂気の海』とは龍(神)の格好をした日本列島が、
空・海・地の「神々」から殺戮される物語・・・にも
見えてきますね。
そして、
その殺戮のスイッチ、
日本列島=龍神を暴走に向かわせてしまった「逆鱗」こそ、
メイド・イン・マッチーの核ミサイルであったと・・・。

高橋洋:

 猫目小僧さん。
 まさにおっしゃる通りだと思います。
 『狂気の海』は、誰も魂の存在を認めていない、リアリズムムに生きる“政治的人間”たちが、呪術を、外交手段の延長として戦争を用いるように、フレームとして用いている。その意味で神殺しを遂行しようとしている人たちなのです。これってどこかパゾリーニの『ソドムの市』にも通じているようにも見えます。
 『太平洋の亡霊』が出して来た英霊のあり方、あるいは『レインボーマン』の「死ね死ね団」が、日本人の民族的自意識の裏返しであること(突出した民族故に叩かれる)といったことが成立しない今日において、語り得ることは何か、ということがリアリズムを呼び寄せたと思います。

猫目小僧:

辻先生が、
太平洋戦争の戦死者の後姿にかけたかったというお言葉も
含めてなんですが、くだんの『太平洋の亡霊』って「反魂
の術」・・・いわゆる「死人帰り・黄泉帰り」の物語なん
ですよね。
サイボーグ戦士たちも、ある種の「死人帰り」と見做して
良いと思うんですが、そう考えると「黒い幽霊=ブラック・
ゴースト」という彼らを改造した(=黄泉帰らせた)敵
組織のネーミングにも改めて奥深いものを感じます。
閑話休題、
『太平洋の亡霊』が「反魂の術」の物語であったならば、
『狂気の海』とは「(祟り)神殺し」の物語ではなかっ
たか・・・と、これもまた改めて感じ、想うものがある
梅雨明けの今日なのでした。

ハルコネン:

映画「きけ、わだつみの声」は子供の頃に、片足の兵士が、銃に体重を乗せるようにしてようやっと立っている姿がシルエットで撮られたスチル観て「この映画は恐い映画だ」とず~っと思い込んでいました。今だ観ていないんですが、辻先生の言葉聞くと、子供の頃に感じたものとは違うにしても「やはり恐い映画だったか」という思い抱かせられます。

映画の元となった戦没学生の文章集成の中に「人よ、猿の眷属よ、最期の質問『歴史とは何か』」という短文あるんですが、辻先生が「きけ、わだつみの声」を上げられたからというわけでなく、「太平洋の亡霊」はこの戦没学生の問いに答えようとして声上げたものと思えました。

高橋洋:

 ソドムBBSではすっかりおなじみの“博覧強記”猫目小僧さんですが、こちらの公式サイトには初お目見えです。コメントありがとうございます。

 確かソドムBBSで、同じく常連のハルコネンさんも書かれていましたが、神社に祀っているということは、とりもなおさず“祟り神”なのですよね。
 そういうごく当たり前の感覚を曖昧にすることこそが、悪しき“死者の利用”ではないかと、僕がパンフレットのインタビューで言わんとしたのもそういうことだと思います。
 帝銀事件も怖いですね。
 かつて満州で中国人や白系露人になされたことを、今度は日本人に対して反復している、そういう得体の知れない人物が歩いていた姿を想像するとゾクッとします。

猫目小僧:

>私は彼らの後ろ姿に向って言いたかった。あなた方、
>向こうに行っちゃっていいんですか? まだやること
>があるでしょ? こっちに戻ってらっしゃい!

これは、
何とも強烈な言霊というか、もう完全に呪言ですね。
(帝銀事件の「犯人とされた」)平沢翁の葬儀で、
故・遠藤誠弁護士が「成仏なんかせず、怨霊となって
祟ってください」と弔辞を述べたエピソードを思い出
しました。

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